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停電しない家にするには?導入したいシステムや停電時の行動などを紹介
台風や大地震など自然災害時に発生しやすいものといえば、停電です。万が一、何週間も停電になったら、しばらく電気のない生活を送ることになります。冷蔵庫や空調などが使えなくなり、不便を強いられることになるでしょう。
そこで、注目してほしいのが「停電しない家」です。電気を自給自足するので、いざというときでも電気が使えます。
この記事では、停電時でも使える機器、災害によって停電したときの対処法などについてまとめています。災害時に備えて、万全の準備をしておくことで、いざというとき慌てることもありません。ぜひ、ご一読ください。
自然災害による大規模停電の増加
近年、日本全国の各地で、自然災害による大規模停電が発生しています。例えば、2011年の東日本大震災では、福島の原子力発電所が停止したため、電力供給が不安定になりました。
さらに、2018年の北海道胆振東部地震では北海道全域でブラックアウトが発生、2019年には房総半島台風によって、関東を中心に約100万戸が2週間以上停電しました。
自然災害による大規模停電で、多くの人が不安になったり、日常生活に支障が出たりしていますが、もはや他人事ではありません。日本は、自然災害が多い国です。1人ひとりが災害対策として、停電に備えておく必要があります。
完全復旧までに 約1週間
自然災害により停電になると、どのくらいで復旧するのでしょうか?大規模停電の場合、復旧に時間がかかる可能性があります。
具体的には、2011年の東日本大震災では、完全復旧まで8日、2016年の熊本地震では完全復旧まで6日かかっています。
令和元年房総半島台風では、千葉県は特に被害が大きく、1週間たっても8万戸が復旧せず、長期間停電になりました。停電の場合、完全復旧までに約1週間はかかると考えておきましょう。
停電になると何が使えなくなる?
私たちは、日常生活でもさまざまな場面で電気を使っています。まず、停電になると、給湯設備やIHクッキングヒーターは使えません。
また、空調がきかなくなったり、冷蔵庫やトイレが使えなくなったりと、生活に支障が出るだけでなく、健康面で悪影響を及ぼす可能性もあります。停電時に使えなくなる主なものを、1つずつ見てみましょう。
ガス給湯器
給湯機は、停電時に使えるものもあれば、使えないものもあります。例えば、100V電源のガス給湯器やそのほかの給湯器は、停電時に使えません。
BF式風呂釜やCF式風呂釜、キッチン用小型瞬間湯沸かし器などは、乾電池で稼働しているため、停電時でも使用可能です。また、停電モードが搭載されている給湯器もあるので、自分の家の給湯器がどれに該当するのか確認しておくとよいでしょう。
IHクッキングヒーター
IHクッキングヒーターを使用中に停電になると、自動的に電源が切れます。電気が復旧したら、主電源を自分で入れる必要があります。グリル自動調理やタイマー調理などの設定をしていた場合は、解除されてしまうので、復旧後に再度設定し直してください。
空調
停電になると、エアコンや扇風機も使用できません。夏であれば、冷房が使用できないので熱中症の危険性が高まります。一方、冬は、暖房が使えないため、風邪やインフルエンザなどになるリスクがあります。
特に、乳幼児や高齢者、ペットなどが家にいる場合、命に関わる可能性もあるので、注意が必要です。
冷蔵庫
冷蔵庫の電源が入らなくなると、庫内の温度は次第に上昇します。中に入っているモノが傷んでしまい、要冷蔵の食品や冷凍食品を保存できなくなります。停電が長引くと、食品が腐敗する可能性もあるでしょう。
トイレ
送電線の断線や計画停電など「電気が止まっただけ」の場合、一般的な水洗トイレは使用可能です。一方、タンクレストイレは、停電すると水を流せません。ただし、タンクレストイレでも、停電時に手動で流せる装置が付いているものもあります。
なお、断水が起きたり、水道管がダメージを受けるほどの災害が発生した際は、すべてのトイレが使用不可になるのでご注意ください。
スマホ
スマホは、災害時は情報収集や安否確認に役立つため、充電しておく必要があります。停電により充電できない日が続くと、電池切れになってしまう可能性もあるでしょう。
停電時でも電気が使えるシステム
3電池連携システムがあれば、停電時でも電気が使用可能です。3電池連携システムは、太陽光パネルとエネファームで作った電気を蓄電池に貯めるシステムです。
停電時には、太陽光発電とエネファーム、蓄電池の3つが連携して、効率的に電力を貯めて供給し続けます。最大出力は2000Wで、電子レンジや炊飯器、冷蔵庫もいつも通りに使ええるため、非常に便利です。
太陽光発電
太陽光発電は、太陽の光エネルギーを電気に変換できる自家発電設備です。晴れの日は、太陽光発電設備によって、電気を供給することが可能ですが、夕方や夜間などは発電しないため使用できません。
家庭用蓄電池
蓄電池は、名前の通り、電気を蓄えられる電池です。どのくらいの電力が使えるかは、容量次第です。
一般的に、エアコンや冷蔵庫、テレビや照明、炊飯器や電子レンジ、スマホの充電など、必要最低限の電気を動かすには、少なくとも8kWhの蓄電池が必須です。停電時は、蓄電池の残量を確認しつつ上手に節約すれば、普段通りの生活も可能でしょう。
エネファーム
エネファームは、電気とお湯を同時に作り出す家庭用燃料電池のことです。作った電気は照明やテレビなどに使用できるほか、排熱で作ったお湯をキッチンやお風呂の給湯に利用したり、床暖房の熱源としても使えます。
停電時にも、電気とお湯を供給することができるので、とても便利です。ただし、使用する電気製品のプラグを停電時専用コンセントに接続する必要があります。
電気自動車
電気自動車は、災害時に蓄電池として活用できます。太陽光で発電した電気を電気自動車に貯めることもできると、ご存知でしたか?
電気自動車は、電気さえ貯まっていれば、夜間でも電気を供給し続けることができます。ただし、車種によっては供給できないタイプもあるので、ご注意ください。
停電時に発電設備を使用する際の注意点
停電時は、太陽光パネルや蓄電池、発電機などを活用したいと考えている方も多いのではないでしょうか?使用時には、いくつかの注意点があります。
出力の多い電化製品はできる限り使わない
自立運転で利用する蓄電池の最大出力の値は、容量とは異なります。容量は貯まった電気、一度に使用できる量が出力です。エアコンやIHクッキングヒーターなどの家電製品は200Vもあり、出力の多い電化製品の1つです。
蓄電池の自立運転の際に出力が足りない可能性があるので、出力の多い電化製品は極力使わないでください。近年、自立運転の最大出力が大きい蓄電池も増えてきているので、導入するのもいいかもしれません。
太陽光パネルは故障したら発電できない
太陽光パネルは、いつでもどんなときでも、発電できるわけではありません。太陽光パネルが故障したら、発電できないのです。台風時に瓦や太い枝などが飛んできた場合、パネルが損傷してしまう可能性もあります。
蓄電池の利用可能時間は容量次第
蓄電池は、使える電力に限界があるので、停電時に普段通り使っているとすぐに電力はなくなってしまいます。蓄電池の電気を使用する場合は、残量の確認が必須です。利用可能時間は、蓄電池の容量次第といえるでしょう。
例えば、8kWhの容量の場合、1日くらいなら普段通りの生活を送ることが可能です。照明、テレビ、スマホの充電、冷蔵庫すべて使いたい場合は、11.1kWの容量が必要です。
停電したら、使わない電化製品のコンセントは抜いておくことをおすすめします。電気を使う場合は、どの電化製品に利用すべきか優先順位を決めるとよいでしょう。
蓄電池は太陽光発電とセットで使うと効果大
蓄電池は、太陽光発電と一緒に使うと、より効果を実感できます。昼間は太陽光発電の電気を使い、余った電気は蓄電池に充電すれば夜間も電気を使えるでしょう。昼間は太陽光発電の電気でまかなえるし、余った電気は蓄電池に充電して夜間に使用可能です。
ただし、電気を使いすぎたり悪天候が続いたりすると、一日中電気を使えなくなる可能性もあるので、ご注意ください。
発電機を室内で使用しない
ガソリンやカセットボンベを燃料とする発電機は、室内で絶対に使用しないでください。発電機の排気ガスには一酸化炭素がたくさん含まれているので、一酸化炭素中毒につながる恐れがあります。
屋外で発電機を使用する場合でも、排気ガスが屋内に入らないようにしてください。
災害によって停電したときの行動
災害で停電したときは、つい慌ててしまう人も少なくありません。しかし、落ち着いて行動しないと、かえってケガや事故につながる可能性があります。停電したときは、以下のことを必ず行いましょう。
停電の範囲を確認する
停電したら、まずは停電の範囲を確認してください。窓から外を見て、近所の家の明かりがついているかチェックしましょう。
近所の電気も消えている場合、地域一帯が停電している可能性が高いです。停電情報は、電力会社のホームページで調べることができます。
一方、停電が自宅のみの場合は、アンペアブレーカー、安全ブレーカー、漏電ブレーカーのいずれかが落ちていないか、確認しましょう。
コンセントから電源プラグを抜いておく
次に、コンセントから電気機器の電源プラグを抜いておきます。地域一帯が停電している場合、いつ復旧するかわかりません。復旧と同時に電源が入ってしまうと、過電流が発生し、火災の発生につながる恐れがあります。
特に、ヒーターやアイロン、ドライヤー、白熱灯などの電気製品は、火災につながる可能性があるため、注意してください。
パソコンも、復旧時に過大な電圧・電流がかかり、故障する恐れがあります。停電したときは、データを保存してから電源を切り、電源プラグを抜いておきましょう。
冷蔵庫はできるだけ開けない
冷蔵庫内は、しばらくの間冷気が残っていますが、使い方によっては冷気がすぐになくなってしまいます。一般的に、冷蔵庫を10秒開けっ放しにすると温度が3~5度上がるといわれています。
停電時は、冷蔵庫をむやみに開けないようにしましょう。ドアを開けるたびに冷気が逃げて、温度が上がってしまいます。庫内の保冷時間を少しでも長くキープさせるためには、冷蔵庫を開く回数・時間を極力短くすることがポイントです。
なお、クーラーボックスに食材を移す必要はありません。冷蔵庫に入れっぱなしにする方が、安全です。
水を貯めておく
停電になると、水道が止まる場合があります。飲み水を確保するために、水が出るうちに水を貯めておきましょう。オール電化住宅では、トイレの水も出なくなるので、トイレに流す水の確保も必要です。
スマホを省エネモードにする
スマホのバッテリーをできるだけ長く持たせるには、省エネモードに切り替えるほか、画面の明るさ設定を「暗め」にしたり、起動しているアプリを終了したりする工夫も必要です。
また、Wi-Fi、Bluetooth、GPSなどは、オフにしましょう。スマホのライトを使うと、バッテリーの消費が早くなるので、明るくしたいときは懐中電灯を使うようにしてください。充電用のモバイルバッテリーの準備も忘れずに。
備蓄用品や防災グッズを確認しておく
電気が復旧するまでは、炊飯器や冷蔵庫、照明なども使えません。非常食や防災グッズが揃っているか、確認しておいてください。
冷蔵庫での保存や電子レンジでの調理が不要な缶詰やレトルト商品、お菓子が1週間分あると、安心です。飲料水は、1人あたり1日3リットルあると理想的です。
電気が完全復旧するまで、コンビニやスーパーなどは、営業時間や購入点数に制限があったり、既に売り切れになったりしている可能性もあります。家にある備蓄用品は、計画的に使うようにしてください。
停電時は、防災グッズも欠かせません。懐中電灯は、できたら家族の人数分だけあると安心です。そのほか、予備電池や携帯ラジオ、カセットコンロなども常備しておきましょう。
避難する場合はブレーカーを落とす
停電中に避難する際は、必ずブレーカーを落としてから、家を離れてください。万が一、浸水や地震被害を受けた場合、電気機器に異常が発生する可能性があります。また、不在中に通電すると、漏電により火災を引き起こす恐れもあり、非常に危険です。
太陽光発電・蓄電システムを自立運転に切り替える
停電が長期化しそうな場合は、太陽光発電・蓄電システムを自立運転に切り替えることをおすすめします。手動の場合、自立運転モードに切り替えないと電気を使えません。切り替え方法はメーカーごとに異なるので、マニュアルを確認しておいてください。
ちなみに、自立運転モードは、いつも使用しているコンセントは使用不可です。使用できるのは、自立運転用コンセントのみです。使用可能な電力量に制限があるので、ご注意ください。
太陽光パネルや蓄電池を活用して災害時でも停電しない家にしよう
停電すると、冷蔵庫や空調が使えなくなるなど、生活に支障が出てしまいます。いざというときには、スマホを省エネモードにしたり、避難する前にブレーカーを落としたりと、落ち着いて行動してください。
停電は、いつ起きるかわかりません。いつでも安心して暮らせる家にするために、家に太陽光パネルや蓄電池などを導入することをおすすめします。
容量によっては、すぐに電気がなくなってしまうので、電気を無駄遣いしないようにしましょう。停電しない家を建てて、いつまでも快適に暮らしたいですね。