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住宅でありがちなトラブルとは?見積もりに関する注意点を徹底解説
注文住宅を建てる際、トラブルになりやすいのが見積もりです。住宅会社から見積書を受け取っても、専門用語が多いし、内容を理解するのが難しいという方も少なくありません。 内容を十分に理解しないまま、契約に進んでしまうと、さまざまなトラブルにつながる可能性があります。見積もりに関する注意点を知っておくことで、トラブルを防ぎ、満足できる注文住宅を建てられます。今回は、見積もりに関する主なトラブル、見積もりに関する注意点などについて解説しました。この記事を参考にして、後悔のない家づくりを実現してください。
見積もりとは
見積もりとは、建物本体の工事費・付帯工事費・諸費用の合計が記載されたものです。ちなみに、本体工事とは、基礎工事・大工工事、外壁工事や内装工事など、建物を作る際に必須の工事のことです。
付帯工事は、建物以外の工事つまり、足場工事や仮設工事、電気工事、諸費用は工事以外の手続きなどにかかる費用を意味します。見積書の内容を確認した上で、建築を依頼する会社を決定するのが、一般的な流れです。
見積もりは2種類
見積もりには、概算見積もりと詳細見積もりの2種類があります。概算見積もりは、土地を決める前の参考価格のため、土地によって金額が変わる可能性があるので、注意してください。見積書は、1、2日で作成可能です。
一方、詳細見積書は、間取りや仕様などの希望条件にマッチした図面を基に計算するので、正確な実際に注文住宅を建てられる金額がわかります。ただし、見積書作成に1ヶ月程度かかる上、土地が決まっていないと作成できません。
まずは、概算見積もりを依頼して、設計プランを基に詳細の仕様や図面を何度か調整しています。細かいプランが決まった時点で、改めて詳細見積もりを依頼しましょう。
その際、必ず内容をしっかりと確認し、不明な点があれば担当者に説明を求めてください。契約に進むのは、見積書の内容や価格に十分に納得できてからです。
見積もりに関する主なトラブル
注文住宅では、見積もりにまつわるさまざまなトラブルが発生しやすいです。万が一、何らかのトラブルが生じてしまったら、後々後悔することになりかねません。
トラブルを防ぐためにも、どんなトラブルがあるのか把握しておきましょう。ここでは、代表的なトラブルを3つご紹介します。
値引き交渉に関するトラブル
1つめは、値引き交渉に関するトラブルです。会社が値引きの要求に応じてくれたため、契約したのに、完成した住宅を確認すると、想定していたものではなかったというケースです。
値引き交渉すると、会社が勝手に材料費や人件費などを削ってしまい、建材などのグレードを下げられてしまうことがあります。したがって、根引き交渉はあまりおすすめできません。
項目や数量のミスに関するトラブル
見積書に記載された内容が、絶対に正しいとは限りません。建築会社の担当者が、項目や数量を間違える可能性もあります。
もし、ミスを見落としてしまうと、建物の仕様や合計金額が大きく変わってしまいます。万が一、担当者が100万円単位で間違えたら、裁判に発展する可能性もあるでしょう。
追加工事に関するトラブル
3つめは、追加工事に関するトラブルです。追加工事が必要になると、見積もりが大きく変わることがあります。「このくらいの追加工事なら、大して料金は変わらないはず」と追加料金を確認せず、追加工事を依頼してしまうケースです。
あるいは、「細かいところは後で変更できます」と言われ、急かされるまま契約を締結してしまうケースもよく見かけます。その結果、大幅に予算オーバーになり、こんなはずじゃなかったと後悔することも多いようです。
追加工事の提案があった場合、必ず見積書を再掲示してもらってください。追加工事の内容、料金を確認・納得した上で、追加工事を依頼することが、トラブルを避けるポイントです。
見積もり作成を依頼する前にやるべきこと
一般的に、注文住宅は分譲住宅よりもプロセスが複雑で、コストも高いです。予算や条件を明確にしたり、土地を探したりと、やるべきことをすませてから、見積もり作成を依頼しましょう。
予算や条件を明確にしておく
最初にやるべきことは、予算や条件を明確にすることです。予め、予算の上限を決めておかないと、当初の見積もりよりも予算オーバーする可能性が高くなります。ゆとりを持った予算にを組むことを心がけましょう。
そして、家の広さや間取りなど、希望条件は何か、家族で話し合ってみてください。「アイランドキッチンにしたい」「リビングは吹き抜けに」「バイクを置くガレージを作りたい」など、家族の要望はさまざま。
予算上問題なければ、すべての要望を盛り込んでも構いませんが、予算が厳しい場合は、絶対に譲れないものは何か優先順位をつけることをおすすめします。
ライフプランによって必要な間取りや部屋数も変わるので、5年後・10年後のライフプランも考えてみてください。
土地探し
意外と時間がかかるのが、土地探しです。不動産屋さんの土地売却情報やインターネットを活用して、土地探しも行いましょう。土地が決まっていないと、詳細見積もりを取れません。
土地が決まったら、見積もりを依頼する建築会社または不動産会社に敷地調査を依頼してください。正確な土地の広さや勾配の有無、接する道路の幅などを調べてもらいましょう。
条件に合う会社を探す
土地が決まったら、希望条件に合う会社を探します。会社といっても、ハウスメーカー・工務店・建築事務所と主に3種類あります。
コスパ重視ならハウスメーカー、地域密着型なら工務店、自由な家づくりをするなら建築事務所と、それぞれ特徴があるので、自分たちに合うものを選んでください。
資料を取り寄せて情報収集するだけでなく、モデルハウスを見学して、会社の雰囲気や担当者の人柄も把握しましょう。
「この会社ならば、自分たちの理想の家づくりをお願いできる」と確信したら、見積もりを依頼してください。少しでも不信感がある会社は、避けた方が安心です。
見積もり作成依頼時の注意点
見積もりの作成を依頼する会社が決まったら、いよいよ見積もり作成を依頼します。この時点で注意したいことが、3つあります。
見積もりは3社に絞る
見積もりは、3社に絞るのが基本です。3社よりも多いと、見積もりを比較するのに時間がかかる上、どれが妥当なのか判断するのも難しくなります。さらに、1社に絞った後、ほかの会社はキャンセルする手間もかかります。
一方で、2社のみにすると、金額や内容が極端に違うと、比較しにくいでしょう。情報を整理しやすく、金額の妥当性もわかりやすいのが、3社なのです。見積もりを一括で請求できるサービスを活用する際も、3社に絞ることをおすすめします。
条件を揃える
見積もりを比較しやすくするには、条件を揃えることが必須です。会社によって異なる条件を伝えていると、見積もりの内容や金額はバラバラになり比較が難しくなるでしょう。
事前に条件を整理して、リストアップしておくことをおすすめします。特に、明確にしておきたいのが、予算・土地や地盤の条件・設備や建材のグレード・間取りの4点です。
子どもの誕生や両親との同居などのライフプランも決まっていれば、併せて伝えておくとよいでしょう。
ス・・ケジュールに余裕を持たせる
見積書は、大まかなものならば1~2日で届きますが、詳しいものならば1ヶ月程度かかります。見積もりを比較するには、3社すべての見積もりが揃っていないといけません。焦らずじっくりと比較検討するためにも、スケジュールには余裕を持たせておきましょう。
見積もりを見るときのチェックポイント
会社から見積もりを受け取っても、どんなことをチェックするべきかわからない
方もいるのではないでしょうか?ここでは、見積もりを見るときのチェックポイントを5つご紹介します。
希望を叶えるプランになっているか
提示された見積もりに、要望がすべて反映されているか確認しましょう。希望を叶えたプランになっていれば、担当者が要望をしっかりと受け止めてくれたということです。一方、予算内に収まっていても、希望を叶えるプランでなかったら、不満が残ってしまいます。
また、希望は叶えられても、追加費用が発生するケースもあります。要望が見積書に反映されていない場合、その理由を担当者に聞いてみてください。設計上の理由でなければ、顧客の要望を忘れていたりおざなりにしていたりする可能性があるでしょう。
抜けている項目や不明点がないか
見積もりに注文した内容や設備が含まれていないときは、記載されていない理由を確認してください。先方のミスで、抜けている項目がある可能性もあります。
また、見積書には、詳しく記載されたものもある一方で、「一式」としか記載していないものもあります。その場合、「一式」には何が含まれているのかを確認しましょう。
記載されている項目は会社によって異なるので、合計金額だけでなく、各項目の内容をしっかりとチェックします。もし、不明点があれば、担当者にすぐに質問しましょう。
不明点をそのままにして契約すると、後々さまざまな金額がプラスされて、予想外の金額を請求される恐れもあります。
材料や工法が記載されているか
材料や工法も、しっかりとチェックしたい項目の1つです。注文住宅は使用する材料のグレードや工法によっても、本体工事費が変わります。例えば、木造と鉄筋コンクリートでは、建築費は大きく変わるでしょう。
もし、材料や工法の記載がない場合は、担当者に説明を求めることをおすすめします。
諸費用はどこまで含まれているか
諸費用に含まれているものは、住宅会社によって異なります。諸費用とは、登記費用や印紙代、火災保険料、申請手数料、地鎮祭や上棟式にかかる費用など、工事費以外の雑費のことで、会社によっては解体費も諸費用に含めることもあります。
見積もりを見ても、諸費用に何が含まれているかよく分からないときは、担当者に必ず確認しましょう。
坪単価に何を含めて計算されているか
一般的に、坪単価は、1坪あたりの建築費を表しますが、この建築費が延床面積で計算されているケースもあれば、施工面積で計算されているケースもあります。
また、空調システムや太陽光パネルなどの機器類、冷暖房システムやシステムキッチンなどの付帯工事費なども含まれているかもしれません。見積もりの坪単価を比較するときは、坪単価の計算方法や含めているものもそれぞれ確認しましょう。
建築会社を選ぶときの注意点
見積もりを比較して、いよいよ1社に絞る段階になりました。建築会社を選ぶときは、以下の注意点を理解しておくことが重要です。
金額が住宅性能に見合っているか
住宅性能は、建築会社によって異なるもので、比較するのは難しいでしょう。それよりも、見積もりの金額が、必要な住宅性能に見合っているかを確認してください。
例えば、耐震性を重視する方もいるし、断熱性を重視する方もいます。その会社の資料やHPを参考に、施工実績やメンテナンスの有無などをチェックしてみましょう。
特に、メンテナンスは重要なポイントで、数年ごとに外壁塗装をやり直すことになると、メンテナンスコストの負担が大きくなってしまいます。初期費用はかかってしまうけど、メンテナンスコストが少なく手住む方法を選ぶのも、1つの方法でしょう。
以上のことを踏まえた上で、見積もりで提示された金額が、必要な住宅性能に見合っているか確認します。住宅性能または金額のどちらかに不満があるときは、担当者に相談してみるのもいいかもしれません。
金額の中身
見積書を比較するときは、金額そのものだけでなく、金額の中身もしっかりと確認してください。中身とは、「どの部分にどれだけお金をかけているのか」ということです。
詳細見積書に記載されている金額は、最終的な金額ではありません。建材、外壁や内装などのグレードを下げることで、見積額を調整することは可能です。金額の中身が明確で、且つ納得できるものかどうかをポイントに、建築会社を選びましょう。
担当者の対応
建築会社を選ぶときは、「予算内で要望通りの家を実現できる」ことも重要ですが、担当者の人柄や対応も考慮する必要があります。電話の対応がいいか・説明がわかりやすいか・質問しやすいかといった点をチェックしてみてください。
発言に一貫性がなかったり誠意を感じられない対応だったりすると、不信感が募る一方です。「この人になら任せたい」と思える、信頼できる担当者がいる会社を選ぶようにしましょう。
見積もりが予算オーバーした時の対処法
注文住宅のプランを考えていると、あれもこれもと要望が増えて、見積もりが予算オーバーしてしまうことは、よくあります。見積もりが予算オーバーしたときは、優先順位をつけて、削れるものは削りましょう。
ただし、建物本体の材料・工事費、耐震性や断熱性などの基本性能、付帯工事費や諸費用などの基本的な項目は、削れないのでご注意ください。ここでは、具体的な対処法をご紹介します。
シンプルにできるものはシンプルに
住宅や屋根、間取りなどをシンプルにすると、コストダウンしやすくなります。まず、住宅の形状です。この字型やロの字型から正方形・長方形のシンプルな形状に変更すると、費用を大きく削減できます。
次に、屋根です。複数の建材を使用する屋根から最小限の建材且つシンプルな形状の屋根に変更してみてください。
3つめは、間取りです。吹き抜けやスキップフロア、インナーガレージは、費用が高くなりやすいので、極力シンプルにしましょう。さらに部屋数を少なくすると、安くなりやすいです。
4つめは、内装です。内装に自然素材を使用したりデザイン性を重視したりするとお金がかかりやすいので、よりシンプルにします。すべての部屋の内装にこだわると、あっという間に予算オーバーするので、こだわる部屋のみにお金をかけるようにしましょう。
設備や建材のグレードを下げる
ユニットバスやキッチンなど設備、床材や壁紙など建材のグレードを下げるのも、コストを抑える方法の1つです。最先端の設備は、便利な分、費用も高くなりやすいです。
「設備や建材にこだわったのに、実際に住んでからほとんど使用しなかった」というケースもあるので、自分たちのライフスタイルに必要か再検討してみてください。
窓やバルコニーを減らす
窓やバルコニーは、あればあるだけ費用がかさみます。予算を抑えたいときは、窓やバルコニーが必要な場所を厳選してみてください。日中よく利用する部屋を優先して、あまり使わない部屋の窓やバルコニーを減らしてみると、見積額を減らしやすくなります。
外構は専門業者に依頼する
駐車場や門扉などの外構などは、専門業者に依頼するのも、1つの方法です。専門業者の見積もりを取ってみて、見積もりを比較してみてみるとよいでしょう。
また、DIYが得意な方は、一部を自分でDIYするのもよいし、タイミングをずらして家を建てた後に外構・庭の整備を依頼するのもおすすめです。
値下げ交渉は1回のみ
見積もりをとったものの予算オーバーだったとき、「できたら値下げ交渉したい」と考える人も少なくありません。しかし、値下げ交渉はかなり慎重に行う必要があります。
強引に値下げ交渉をすると、担当者との信頼関係を壊す可能性があります。最悪の場合、建築自体を断られることもあるかもしれません。
どうしても値下げ交渉したいときは、1回のみに留めておきましょう。何度も値下げ交渉すると、担当者や現場の人のモチベーションが下がってしまいます。
家は、建てたからといって終わりではありません。その後のアフターケアもあるので、長いお付き合いになります。担当者とよい関係を続けるためにも、値下げ交渉は極力避けてください。
見積もりのトラブルを防ぐコツ
見積もりに関するさまざまなトラブルがあることは、先ほどご紹介しましたが、トラブルはちょっとしたコツで防ぐことができます。ここでご紹介する5つのことを実践すれば、トラブルを防ぎやすくなるでしょう。
内訳書も確認する
見積もりを確認するときは、内訳書もご確認ください。内訳書とは、請負代金の詳しい内訳を表にまとめた書面のことです。工事内容や契約内容が詳細に記載されているので、妥当な工事代金か確認することも可能です。
また、工事の追加や変更があったときも、内訳書があれば、工事の単価と数量を確認できます。
図面や仕様書を確認する
トラブルを防ぐには、設計図や仕様書を確認することも必須です。図面には、高さの寸法、構造部や基礎の作り方、設備機器の配置や配管の種類と取付位置などが記載されています。一方、仕様書には、図面に掲載できなかった事項を文章や数値で補足しています。
現場は、図面や仕様書を見て仕事を進めるので、万が一図面や仕様書が間違っていたら、現場が間違った工事をする可能性があります。
トラブルを防ぐには、見積もり書の内容が、きちんと図面や仕様書に反映されているか、間違ったところはないか、しっかりと確認しておくと安心です。
家づくりの基礎知識を身に付けておく
家づくりの基礎知識がないと、図面や見積書を見ても、不明瞭な項目に気付くことも少ないでしょう。注文住宅を建てると決めたら、家づくりに関する本を1冊読み込むことをおすすめします。基礎知識があれば、見積もりに関するトラブルを防ぎやすくなります。
仮契約は慎重に
建築会社の中には、見積書の作成を依頼しただけで、特別キャンペーンなどお得な話を持ち掛けつつ、仮契約をすすめてくるケースがあります。正式な契約でないからと気軽にサインするのは、絶対に避けてください。
仮契約といっても、「建築請負契約書」にサインと押印したら、民法上は本契約になるのです。その後、解約しようとしたら、多額の違約金が発生してしまうので、十分に注意してください。仮契約は、各社の見積書を比較した上で、1社を選んでからにしましょう。
キャンセルのときは曖昧な言い方をしない
見積もりを比較し、依頼する会社を決めたら、そのほかの会社をキャンセルすることになります。キャンセルするのは申し訳ないと思ってしまいがちですが、言葉を濁してしまうと、かえってトラブルを引き起こすことになります。
曖昧な言い方をして、誤解されることがないように、キャンセルそして断る理由を明確に伝えましょう。キャンセルは、仮契約前に限り、違約金不要です。キャンセルのタイミングによっては、違約金を支払う必要が生じるので、ご注意ください。
見積もりは内容をしっかりと確認!希望条件や優先順位も明確にして納得できる家づくりを目指そう
注文住宅の見積もりは、専門家でないと難しい内容もたくさん。しかし、十分に内容を確認せず、金額だけを見て契約してしまうと、トラブルに巻き込まれる恐れがあります。
見積もりを依頼する前に、家づくりの基本的な流れや見積もりのポイントなどを把握しておきましょう。家族で希望条件や優先順位について話し合うことも重要です。不明点があったり不安なことがあったりしたら、遠慮せず担当者に質問してください。
1つずつ理解・納得してから次に進むことが、トラブルに悩まされない家づくりにつながります。家は、人生最大の買い物といわれます。時間に余裕を持って、後悔のない家づくりをしてください。