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家の寿命は何年?劣化しやすい箇所は?戸建てのメンテナンス方法も解説
皆さんは、家の寿命が何年かご存じですか?家には寿命があるので、年数が建つごとに劣化してしまいます。しかし、定期的にメンテナンスをすることで、家を長持ちさせることができます。それでは、具体的にどんなメンテナンスをしたらよいのでしょうか?今回の記事では、家の経年劣化症状、劣化しやすい場所や行いたいメンテナンスなどをご紹介します。
家の寿命は何年?
日本の住宅の平均寿命は約30年といわれていますが、実際のところ、木造は約30年、鉄骨造は約30〜60年持ちます。平均寿命が30年というのは、家が30年しか持たないということではなく、ライフスタイルの変化などにより30年くらいで建て替える人が多いという意味です。
したがって、家は、寿命の年数よりも長持ちするのです。ただし、そのためには適切なメンテナンスをする必要があります。
寿命と耐用年数は同じ?
家の寿命と耐用年数は同じじゃないの?と思っている方もいるかもしれませんが、実は寿命と耐用年数は異なるものです。寿命は「建物が経ってから取り壊されるまでの期間」、耐用年数は「減価償却資産が利用に耐える年数」を意味し、正式には法定耐用年数といわれます。この年数を過ぎると税務上の資産価値がなくなります。つまり、耐用年数とは「住み続けられる年数」ではありません。
家の経年劣化症状
家は毎日暮らしている場所なので、年月と共に少しずつ劣化していきます。数年で劣化症状が出ることはほぼないですが、築10年以降になると経年劣化症状が出やすくなるでしょう。それでは、築年数ごとにどんな劣化症状があるのか、ご紹介します。
築10年
築10年は、家のメンテナンスが必要になる初期段階です。大体10年経つと、外壁や屋根にひび割れやサビ、塗装の剥がれ、水回り設備の劣化が気になり始めます。この時期は目に見える部分の劣化がほとんどなので、見つけ次第対処することがポイントです。
築10~20年
築10〜20年は、目に見えない部分の経年劣化が出てくる頃です。例えば、旧排水管の劣化や破損による水漏れ、床下の痛みなどが目立ってきます。場合によっては、設備の交換や補修など部分的なリフォームが必要になることもあるでしょう。また、屋根の葺き替えも必要になってくる頃でもあります。
築20~30年
築20〜30年は、築10年頃にメンテナンスした箇所が再び傷んでくる頃です。外壁や屋根、水回りなどが痛んでないか確認することをおすすめします。
また、築20〜30年は、子どもの独立や親の介護などライフスタイルが大きく変化する頃でもあります。近い将来のことを考慮して、バリアフリー化も含めた大規模リフォームを検討するのもおすすめです。
劣化しやすい箇所
戸建てには、劣化しやすい箇所があります。主に、外壁・屋根・床・水回りです。この5箇所は、特にチェックやメンテナンスが必要な場所といえるでしょう。それでは、どんな風に劣化しやすいのか詳しく解説します。
外壁
外壁は、劣化しやすい箇所且つ目につきやすい箇所です。汚れやひび割れ、塗装の剥がれやチョーキング(白い粉)などがないかこまめに確認しましょう。大きなひび割れが出る前に、外壁材を塗り替えておくと安心です。さらに、外壁の再塗装をするときに屋根の塗装も一緒に行うと、二度手間になりません。
屋根
屋根は紫外線や雨風にさらされやすい箇所なので、とても劣化しやすいです。屋根の劣化が進行すると、屋根材を保護している塗膜も劣化してしまい、雨漏りや漏電の原因になることもあるので要注意です。
とはいえ、屋根は普段目につかない場所なので、劣化に気づかない方も少なくありません。屋根が劣化していないか、年に数回屋根の状態を確認することが望ましいです。屋根に登るのは危険なので、2階の窓から見える範囲内で確認する程度にしましょう。確認しておきたいポイントは、雨漏りがないか・変色やサビがないか・屋根材が割れていないか・瓦がずれていないか、などです。
床
床の主な劣化症状は、キズや汚れ、床下の腐食などが挙げられます。キズや汚れは目につきやすいので、日頃からお手入れしたいもの。例えば、フローリングならば定期的にワックスを塗り直すことで、汚れやキズの予防になります。掃除機がけと拭き掃除で、こまめに汚れを落とすとさらに効果的です。
キッチンやトイレ、洗面所など湿気の多い場所の床は、腐食しやすいといわれています。床下が腐食しているかチェックするには、床を押してみるとよいでしょう。床を押して沈む場合は、シロアリや腐朽菌が活動しているかもしれません。気になる場合は、業者に確認してもらうことをおすすめします。
水回り
水回りも、劣化が気になる箇所の1つです。キッチンやお風呂、洗面所やトイレなどの水回りは毎日使う箇所なので、汚れやすいです。特に、ガスコンロは油分が付着すると、汚れが蓄積しやすくなるので、こまめに掃除するようにしましょう。
水アカやカビが蓄積すると、排水口や配管が詰まり、水漏れや破損の原因にもつながります。水道料金が急に高くなったら、水漏れしているかもしれません。一度、すべての蛇口を閉めてから水道メーターを確認してください。水を使用していないのにメーターが動いていたら、どこかで水が漏れている恐れがあります。
長持ちさせるために家を建てるときに考慮したいこと
家を長持ちさせるためには、家を建てる時点で気を付けたいことが3つあります。設計時に2つのことに気を付けるだけで、家の寿命が延びやすくなるでしょう。具体的には、材質の工夫・配管などの配置です。
材質の工夫
設計時に劣化しにくい材質や素材、断熱材を選ぶのも、家を長持ちさせるためにおすすめです。断熱材は、湿気により劣化しやすいグラスウールよりも、湿気に強いウレタンフォームがよいでしょう。クッションフロアは比較的劣化しやすいですが、エイジングが味になりやすい木材などの建材を使用するのも1つの方法です。
また、外壁にはタイルを貼ったり屋根に太陽光パネルを貼ったりすることで、耐久性を高めることができます。
配管などの配置
家を設計する時点で、配管などの配置を考えてお家を建てることをおすすめします。特に、水回りのメンテナンスは多いので、壁を大きく剥がさなくてもメンテナンスできる設計にしておくと、後々楽です。
定期的なメンテナンスで家の寿命を延ばす
家の経年劣化は避けられないものの、定期的なメンテナンスを行うことで、家の寿命を延ばすことは可能です。メンテナンスは、「壊れる前」「傷む前」に行うのがポイント。傷んだり壊れたりしてからのメンテナンスだと、家の寿命も縮んでしまっているし、他の箇所にも悪影響を及ぼしている恐れもあります。
メンテナンスは、季節毎に行うものと築年数毎に行うものの2種類があります。「いつ」「どこの」メンテナンスをするかポイントを押さえて、効率的にメンテナンスを行うことをおすすめします。
季節毎のメンテナンス
四季折々、必要なメンテナンスは異なります。春は梅雨が近づいている時期のため、屋根や外壁に不具合はないか確認しておくと安心です。梅雨明けの夏は、雨どいが十分排水できているか確認しておきましょう。台風通過後は、屋根の瓦など落下物がないかチェックしておくと安心です。
そして秋になると、落ち葉の季節です。雨どいに落ち葉がたまると、詰まったり雨水が排水しにくくなるので、こまめに掃き掃除をしましょう。冬は、屋根や壁にひびがないか確認します。特に寒さが厳しい地域では、屋根の雪止めが固定されているかチェックしておくとよいでしょう。
築年数毎のメンテナンス
築10〜15年は、外壁や屋根の塗装、クロス(壁紙)張替え、ベランダ防水などのメンテナンスが必要です。外壁を塗り替えることで、水の侵入やサビを防ぐことができます。また屋根は、セメント瓦やコンクリート瓦の場合塗装が必要ですが、粘土瓦ならば必要ありません。余力があったら、フェンスや塀などの金属部の塗装、シロアリ工事も行ってください。
築16〜20年は、給湯器や洗面化粧台、レンジフード、トイレ本体などのメンテナンスが必要です。シロアリ工事は5年に1回が望ましいので、築15年で1回目のシロアリ工事をした場合、築20年に2回目の工事を行うとよいでしょう。
築21〜25年になると、あらゆる箇所に傷みが出てきます。外壁塗装や屋根塗装、クロス(壁紙)張替え、ベランダ防水やシロアリ工事のほかに、屋根カバーか屋根葺き替えの工事など、キッチンやユニットバスの交換なども必要になります。
ます. 築26〜30年になるとフローリングも傷んでくるので、フローリング交換を行いましょう。たわみなどが気になる場合は、床の張り替えも行うことをおすすめします。水漏れやカビ臭さが気になる場合は、配管回りの点検、屋上やベランダなどの防水工事も忘れないようにしましょう。
メンテナンスする時期のポイント
メンテナンスは、強風や大雨など悪天候の後が特におすすめです。風量や雨量など条件は同じでも、家によって落ち葉の量は違うし、台風や大雨の被害の大小は異なります。まずは、自分の目で確認してみてください。屋根に登ったら危険なので、目視だけで十分です。気になる箇所があったら、業者の無料点検を利用して、どんなメンテナンスが必要かチェックしてもらいましょう。
家の寿命が近づいたら検討したいこと
定期的なメンテナンスを行っていても、家の寿命は少しずつ近づいてきます。修理ばかりしていると、手間やお金がかかって大変ですよね。思い切って全面リフォームまたは建て替えを検討してみてはいかがでしょうか?
家の寿命が近づいてきたら、予算やニーズにあわせてリフォームか建て替えを行うことをおすすめします。
リフォーム
リフォームは、柱や壁などはそのまま残して行う工事です。愛着のある家を壊したくない方、今よりも住みやすい家にしたい方におすすめ。リフォームは工事期間が短い上、仮住まいや引っ越しが不要なケースもあり、比較的気楽にできるのが魅力です。費用も、建て替えよりもリーズナブルなことがほとんどです。ただし、大きな間取り変更ができないのと、地盤や構造物に補強が必要な場合は高額になることがあります。
リフォーム時のポイント
リフォームを何度も行うと、期間も費用もかかってしまいます。家の寿命を延ばすことを目的としたリフォームをするときは、バリアフリー、省エネ性や耐震性を高めるリフォームなども組み合わせて、効率よくリフォームするとよいでしょう。システムキッチンやシステムバスの入れ替え、床暖房の導入や収納の増設などもいいですね。
建て替え
建て替えは、家を完全に解体してから、新しく建て直す工事です。ライフスタイルの変化に合わせて間取りを変更したり、建物の強度を増したりすることもできます。
ただし、工事期間が長くなり、建て替え中は仮住まいや引っ越しが必要です。また、家の建築条件によっては、建て替えが不可能なこともあるので注意してください。
家の寿命はメンテナンスやリフォーム次第!大切な家を長持ちさせよう
せっかくマイホームを購入しても、メンテナンスをしなければ劣化してしまいます。家の寿命を延ばせるかどうかは、日頃のお手入れ・定期的なメンテナンスやリフォーム次第。季節や築年数毎に適切なメンテナンスを行うことで、家を長持ちさせることができます。ライフプランに応じたリフォームや建て替えも検討して、大切な家の寿命を延ばしましょう。