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地震に強い家の特徴を知りたい!間取りや構造は?建築時の注意点も解説
地震大国と呼ばれる日本は、いつ巨大地震が来てもおかしくないといわれています。大切な家族の命を守るためにも、地震に強い家にしたいと思っている方は多いのではないでしょうか?
地震に強い家にするには、工法や等級など建築の基本について理解しておくことが欠かせません。今回は、地震に強い家の特徴、家を建てるときのポイントなどについて解説します。工法や構造についても詳しく紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
地震による影響
地震対策をしていない家は、地震のときさまざまな悪影響があります。
家の倒壊
まずは、家の倒壊です。強い揺れによって、倒壊することがあります。また、家の壁に隙間ができたり、外壁の一部が剥がれたりすることもあります。築年数が経っている木造住宅は、特に危険です。
家の傾斜や沈下
次に、家の傾斜や沈下です。強い揺れによって地盤が液状化して、建物が傾斜したり沈下したりすることがあります。液状化に至らなくても、地盤が弱いと地盤に亀裂が生じる恐れもあるでしょう。
火災の発生
3つめは、二次災害である火災の発生です。日本は木造の家が多いため、地震発生時に台所で火を使っていたりガス管が破損したりすると、火災が発生しやすくなります。
地震に強い家ってどんな家?
地震に強い家とは、大地震が起こっても被害を最小限に抑えられる家のことです。耐震対策を考える必要があるのは、骨組みだけではありません。外装や内装、地盤などあらゆるものが頑丈である必要があります。
耐震対策の工法
耐震対策をしていれば震度被害は最小限ですみますが、耐震対策をしていない場合は壁のひび割れや亀裂の恐れがあります。耐震対策の工法には、免震・制震・耐震の3つがありますが、それぞれメリットやデメリットがあるので、自分のニーズに合うものを選びましょう。それでは、具体的にどんな工法かご紹介します。
免震
免震は、建物と地面の間に免震装置を設置して振動を抑える工法で、家の内部の損傷や家具の転倒などを防ぎやすいのがメリットです。一方デメリットは、耐震よりコストが高く、定期的なメンテナンスが必要なことです。
制震
制震は、建物内部に制振装置を取り付けて振動を抑える工法です。免震よりもコストが高く工期が短い上、メンテナンスがほぼ不要なのがメリットです。デメリットは、免震よりは揺れるので、家具を固定する必要があることです。
耐震
耐震は、構造を強化して振動に耐えられる強度を持たせる工法です。最もコストが安いですが、揺れが大きく家具が損傷する可能性はあります。
地震に強い家の特徴
地震に強い家にしたいものの、どんな家が地震に強いのでしょうか?特徴は、主に3つあります。家を建てるときの参考にしてください。
耐震等級が高い
1つめは、耐震等級が高いことです。等級は1から3まであり、等級が高いほど地震に強いのが特徴です。耐震等級1の家は、建築基準法の耐震基準と同じ強度があります。震度7の地震で倒壊・崩壊はしませんが、建物が一定のダメージを受ける可能性はあるでしょう。
次に、耐震等級2の家は耐震等級1の1.25倍の強度があります。災害時に避難場所になる学校や病院などは、耐震等級2以上の強度が必須です。そして、耐震等級3は耐震等級の1.5倍の強度です。消防署や警察署などは、耐震等級3以上の強度が必須といわれています。
購入を検討している家の耐震等級は、住宅性能評価書で確認することができます。住宅性能評価書がない家の場合、工務店やハウスメーカーに問い合わせるとよいでしょう。
質量が軽く高さが低い
2つめは、家の質量が高く高さが低いことです。地震の振動は、建物の重さや高さに比例して大きくなるといわれています。したがって、質量が軽く高さが低い家は、地震の揺れを最小限に抑えることができるのです。
シンプルな形
3つめは、家の形がシンプルなことです。正方形や長方形のシンプルな形の家は、地震に強いといわれています。なぜかというと、シンプルな家は壁が向かい合っているつくりのため、地震で揺れても衝撃を上手に受け止めることができるのです。2階の荷重がバランスよく分散されるため、横揺れにも強いです。
地震に強い家の構造
住宅には主に木造・鉄骨造・RC造の3種類がありますが、一般的に、震度6~7の地震にはいずれの構造・工法でも耐えられるように定められています。それぞれの特徴、メリット・デメリットを把握した上で、最適な構造を選ぶようにしましょう。
木造
日本の住宅で最も多いのが、木造です。木造は強度と柔軟性がある素材なので、地震対策に最適といえるでしょう。木造には、土台に柱を立てて梁などを組み合わせる「在来軸組工法」、木製パネルと角材で作った面をベースにする「枠組壁工法」、床や壁などの構造体をパネルにして工場で生産したものを現場で組み立てる「木質パネル工法」があります。2×4工法、2×6工法などは、枠組壁工法に該当します。ちなみに、最も耐震性があるのは「枠組壁工法」です。
メリットは建設費用がリーズナブルなこと、間取りの自由度が高いこと、一方デメリットは耐久性が低いこと、耐火性が弱いこと、シロアリなどの害虫に弱いことです。
鉄骨造
鉄骨造は、名前の通り鉄や鋼で柱や梁を作っているので、地震で倒壊するリスクは低いです。鉄骨造には、厚さ6mm未満の鋼材を柱や梁として使用して組み立てる「鉄骨軸組工法」と厚さ6mm以上の鋼材を使用し、柱と梁からできた複合部を一体化させるように接合する「鉄骨ラーメン工法」があります。ちなみに、ここでいうラーメンとはドイツ語で「枠」を意味します。耐震性により優れているのは、「鉄骨ラーメン工法」です。
鉄骨造のメリットは、筋交いや筋力壁が不要のため、自由度の高い設計が可能なこと、デメリットは防音性や断熱性が劣ることです。
RC造
RC造はマンションやビルなどの建物に使うことが多い工法で、ほかの構造よりも耐久性が高いのが特徴です。RC造には、梁や柱を設けず壁で家全体を支える「壁式工法」と柱と梁の接合部を接合して家全体を支える「ラーメン工法」があります。どちらの工法も耐震性に優れています。メリットは、鉄骨造と同様に、自由度の高い設計が可能なこと、デメリットは建築費用が高いことです。
耐震性に注意したい家の構造
それでは、耐震性に注意したい家つまり地震に弱い家は、どんな家なのでしょうか?
複雑なつくりの家
L字型やコの字型の家は、正面から見ると2階部分が押し出ていたり、左右に重心がずれていたりします。揺れの揺れのエネルギーがバランスよく分散されず、建物に歪みやねじれが生じやすくなるでしょう。大地震のとき、最悪の場合ひび割れたり倒壊したりする恐れがあります。
ビルドインガレージがある家
ビルドインガレージとは、駐車場のスペースを住宅1階部分に備え付けていることを意味します。限られた敷地を有効活用できるのは便利ですが、耐震性の面ではあまり良くありません。道路側に壁がほとんどないため、耐震強度が低下してしまうのです。ビルドインガレージを作りたい場合、壁が少なくても強度がある構造設計にするか、重量鉄骨工法にすることをおすすめします。
吹き抜けのある家
吹き抜けがある家は開放感がありますが、建物のバランスがいいとは言えません。壁と床がない分柱や梁の密度が低くなってしまうため、耐震性が低下します。吹き抜けを作りたい場合は、吹き抜けの位置や面積、階段の場所などを工夫する必要があります。地震や風などの水平荷重に抵抗できる耐力壁を作るのもおすすめです。
増改築をした家
増築や改築をすると、元々の住宅の部分と増築部分の耐震強度が異なるため、地震が起こったときにバランスを崩しやすくなります。増改築をする際には、構造を確認した上で梁や柱で補強するなどして、地震対策を行うとよいでしょう。
地震に強い家を建てるポイント
地震に強い家にするには、注意するべき点がいくつかあります。
地盤を確認する
地震に強い家にするには、地盤が強い土地に建てることも重要です。家づくりでどんなに耐震対策をしていても、地盤が弱い場所に家を建ててしまうと、地震が起きたときに衝撃に耐えきれず家が傾いたり沈下したりする恐れがあります。
地盤が強いかどうかは、国土交通省が運営しているハザードマップポータルサイトで確認することができます。家を建てる前に、地盤調査を行うとよいでしょう。万が一、地盤が弱かった場合、地盤改良が必要となります。一般的には、硬い地盤があるところまでコンクリートや鉄筋の杭を打ち込んで、地盤を強化します。
基礎工事を確認する
家を建てるときは、どんな基礎工事を行っているか確認することをおすすめします。基礎とは、地盤と建物の間にあるコンクリートの部分です。建物全体を支える重要な部分なので、基礎工事をしっかりと行っているか調べましょう。
基礎工事には、設置部分に「逆T字型」の鉄コンクリートを埋め込んで建物を支える「布基礎」、家の土台をすべてコンクリートで覆って基礎全体で家を支える「ベタ基礎」の2つがあります。ベタ基礎の方が耐震性に優れていますが、コストは若干かかってしまうのが難点です。
工事を監理する
家を建てるときは、工事監理を適切に行う必要があります。工事の監理とは、工事が設計通りに進んでいるか監督・監理することです。工程ごとに監理し、構造設計通りに施工できているかを確認するのですが、実際のところ、工事監理が適切に行われてない現場が多数あります。工事の監理を怠っていないか、確認することをおすすめします。
設計図通りに施工するのは当たり前のことではありますが、スムーズにいかないこともしばしば。しかし、妥協せずに厳重に監理することで、地震に強い家を実現することができるのです。
2階に重いものを置かない
2階に重いものを置かないのも、有効な地震対策の1つです。2階にピアノや本棚など重いものを置くと、地震発生時に1階部分にかかる地震の水平力が大きくなり、建物に負担がかかりやすくなります。設計の時点で、ピアノや本棚などは1階に置くように工夫するとよいでしょう。
火災警報器やブレーカーの設置
地震の二次災害を防ぐために、火災警報機や地震の揺れを感知するブレーカーを設置するのもおすすめです。少しでも早く地震や火災に気付くことで、地震による被害を最小限に抑えることができるでしょう。さらに耐火性を高めるなら、家の素材や構造を耐火性の高いものにすることをおすすめします。
家族が安心して暮らせるように万全の耐震対策を
いつ来るかわからない大地震に備えて、まずは地震に強い家づくりを行うことが重要です。これから家を建てる方は、工法や構造、間取りなどをしっかりと考えましょう。家を作る時点で耐震対策を行っておくことで、大地震が発生しても被害を最小限に抑えることが可能です。地盤や基礎工事なども確認し、家族が安心して暮らせる家を目指しましょう。