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「冬でも暖かい家」に必要な3つの性能とは?間取りの工夫やおすすめの設備をご紹介
冬は暖かく、夏は涼しく過ごせる快適な住まいを手に入れるには、「適切な室温」が保てる家づくりが重要です。
住宅の性能が悪く隙間風が入り込むような寒い家では、快適性は疎か、健康にも影響を及ぼしてしまいます。
そこで今回の記事は、冬でも暖かい家に必要な「住宅の性能」や「間取りのポイント」についてご紹介します。
暖かい家に必要な3つの性能
外気温に左右されない「暖かい家」をつくるためには、住宅の性能にこだわることが大切です。
住宅性能にはさまざまな種類がありますが、暖かい家で必要なのは主に次の3つの性能です。
断熱性能
「断熱」とは、家の中の熱と、外の熱の移動を防ぐための性能です。
冬場の冷気や、夏場の暖気が外から家の中に入らないように遮断する役割があり、断熱性が高いほど外気温から受ける影響が少なく快適な室温を保てます。
断熱性能の指標は「UA値(W/㎡・K)」で表され、この数値が小さいほど断熱性が高いことを示します。
気密性能
「気密」は家の密閉性を表したもので、隙間が多いか少ないかを示す性能のことです。
気密性は家の断熱性を高めるために必要で、気密性が高いほど外の空気が家の中に入りにくくなり、外気温に左右されにくくなります。
「断熱性能」と「気密性能」については、下記の記事でさらに詳しく解説しています。
<関連記事>「高性能住宅」ってなに?建てる前に知っておきたい“4つの性能”について解説
換気性能
暖かい家で快適に過ごすためには「換気性能」も重要です。
上記で解説した通り、暖かい家の実現には「断熱性能」と「気密性能」が不可欠ですが、この2つを兼ね備えた高性能住宅は、隙間がないので空気がこもりやすい難点があります。
そこで、換気設備によって適宜換気をする必要があるのです。
建築基準法では2003年7月から「24時間換気システムの設置」が義務付けられました。
24時間換気システムは窓を閉じたままでも換気が可能な設備なので、寒い季節に窓を開けたくないときでも、室温を保ちながら効率よく空気の入れ換えができます。
参照:国土交通省|改正建築基準法
暖かい家に住む5つのメリット
暖かい家には、次の5つのメリットがあります。
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それぞれ解説していきます。
メリット①:一年中快適に過ごせる
暖かい家は高気密・高断熱であることから、外気温の影響を受けにくく、冷暖房の効きが良いのが特長です。
そのため、冬場に暖かいのはもちろん、夏場も涼しく快適に過ごせます。
メリット②:光熱費を節約できる
「メリット①」でも触れましたが、暖かい家は断熱性や気密性が高いため、外の冷たい空気が入りにくく、室内で暖めた空気も外へ逃げにくい構造になっています。
少ないエネルギーで効率よく家の中を暖められるので、光熱費が節約できます。
メリット③:健康的な生活を送れる
暖かい家では、浴室やトイレで起こりがちな「ヒートショック」の予防につながります。
ヒートショックとは、温度の急激な変化によって血圧が大きく変動し、身体がダメージを受ける健康被害のことで、最悪のケースだと命にかかわる疾患を引き起こします。
特に冬場に起こりやすく、高齢者の方は注意が必要です。
ヒートショックの予防には、部屋と部屋との温度差をできるだけ小さくするのが効果的です。
高気密・高断熱な暖かい家ならば、居室以外の脱衣室やトイレでも温度差が少ないため、ヒートショックが起こりにくく、健康的な生活が実現します。
メリット④:結露が発生しにくくなる
窓などでよく発生する「結露」は、室内外の温度差によって起こります。
断熱性や気密性の高い暖かい家ならば、室内外の空気の出入りを減らしているため、(完全に抑えることは難しいものの)結露が発生しにくくなるのがメリットです。
しかし、正しく換気できていないと室内に湿気がこもってしまい、結露が発生してしまう恐れがあるので気をつけましょう。
メリット⑤:防音効果が高まる
気密性の高い暖かい家は防音性にも優れており、家の中の音が漏れにくく、外からの騒音も侵入しにくい特長があります。
一方で、家の中で発生した音は反響しやすいので、室内の壁に吸音材を施すなどの対策が必要になる可能性があります。
暖かい家の間取りのポイント
暖かい家づくりでは、性能を高めるだけでなく、間取りの工夫も大切です。
次の4つのポイントを押さえましょう。
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それぞれ解説していきます。
ポイント①:自然光を取り入れる
家を暖める際にエアコンやストーブなどの暖房設備を使うのも良いですが、太陽の光を上手に活用すれば、少ないエネルギーで家を暖められ、さらに明るさも取り入れられます。
ただし、普通の窓だと冬場に開口部から暖気が逃げてしまい、夏場は日射で暑くなりすぎる恐れがあるので、断熱性能の高い窓にするなどの対策が必要です。
ポイント②:吹き抜けやリビング階段をつくらない
暖かい空気は上に流れる性質があるため、吹き抜けやリビング階段をつくってしまうとそこから暖気が上の階に移動してしまい、足元が冷えやすくなります。
吹き抜けやリビング階段をつくりたい場合には、シーリングファンを取り付けて部屋の空気を循環させるほか、記事の後半でご紹介する「全館空調」を導入すると良いでしょう。
ポイント③:シンプルな間取りにする
複雑で入り組んでいたり、廊下が多かったりする間取りは暖気が行き届きにくくなります。
間取りはできるだけシンプルにして、効率よく室内を暖められるレイアウトを意識しましょう。
ポイント④:木造住宅にする
木造住宅は、鉄骨造(S造)や鉄筋コンクリート造(RC造)に比べて熱伝導率(熱の伝わりやすさ)が低く、断熱性が高い特長があります。(※1)
国も、地球温暖化対策のひとつとして建物の木造化を推進しています。(※2)
木造住宅は暖かい家を実現するだけでなく、環境保全にも貢献しているのです。
暖かい家を叶えるために、ぜひ木造住宅での家づくりを検討してみましょう。
※1)参照:材料の熱定数表(出典:試して学ぶ熱負荷HASPEE、空気調和衛生工学会、2012年) – 熱伝導率 容積比熱
※2)参照:国土交通省|建築分野における木材利用の促進に向けた取組
暖かい家をつくる設備
適切な住宅設備を導入し、上手に活用してこそ「暖かい家」が実現できます。
ここからはおすすめの設備を3つご紹介します。
全館空調システム
「全館空調システム」とは、家全体(全館)の空調を一括してコントロールできる冷暖房システムのことです。
部屋ごとにエアコンを設置する必要がなく、玄関ホールや廊下でも一定の温度をキープできます。
特に吹き抜けやリビング階段など、開放的な間取りにしたいときには全館空調がおすすめです。
高性能な断熱材
家の断熱性能を高めるには、壁や天井裏、床下まで断熱材をしっかり施工することが大切です。
断熱の施工には、「充填「じゅうてん)断熱」と「外張り断熱」の2つの工法があります。
充填断熱工法は、柱や梁などの構造材の間に断熱材を入れるやり方で、主に木造住宅での工法です。
外張り断熱工法は、柱や梁などの構造材の外側に断熱材を張り付ける工法で、建物全体を覆うようなイメージです。
断熱工法以外にも、断熱材の種類や厚みなども断熱性能に大きく関わってくるため、ハウスメーカーや工務店を選ぶ際には、どのような施工をしているのか確認しておくと良いでしょう。
断熱性の高い窓
窓などの開口部は、家の中で最も熱の出入りが大きい場所です。
冬場の暖房時には、約6割の熱が開口部から流失してしまいます。(※)
窓は「ペアガラス」や「トリプルガラス」などの複層ガラスにしたり、内窓(二重窓)を設置したりと、断熱性能を高める対策をして、暖めた室温を外に逃さない工夫をしましょう。
※)参照:一般社団法人 日本建材・住宅設備産業協会|省エネルギー建材普及促進センター
まとめ
暖かい家をつくるための間取りや設備についてご紹介しました。
「冬でも暖かい家」では快適に過ごせることはもちろん、健康被害を抑制したり、省エネにつながったりと、たくさんのメリットがあります。
一方で、高性能な住宅をつくるために相応の設備が必要だったり、高品質な施技術が求められたりするため、ハウスメーカーや工務店選びは慎重に行う必要があるでしょう。
今回の記事を参考に、ぜひ快適な暖かい家づくりを叶えてくださいね。